梅仕事とは、毎年5月下旬から7月上旬頃にかけて収穫される梅の実を使って、梅酒、梅干し、梅シロップ(梅ジュース)、梅ジャムなどを作る一連の作業のことです。日本の家庭に古くから伝わる夏の風物詩であり、旬の恵みを享受し、保存食を作る知恵でもあります。
私も梅シロップを今年も作りました。簡単で夏の楽しみです。
梅仕事の時期
梅仕事の時期は、使う梅の種類や作りたいものによって異なります。
青梅(5月下旬~6月中旬頃): まだ熟していない硬い梅です。梅酒や梅シロップ、カリカリ梅作りに適しています。シャキッとした食感や爽やかな香りが特徴です。
完熟梅(6月中旬~7月上旬頃): 完全に熟して黄色くなり、甘い香りがする梅です。梅干しや梅ジャム、梅味噌作りに適しています。果肉が柔らかく、まろやかな酸味が特徴です。
梅仕事で作れる主なもの
梅仕事で作れるものは多岐にわたりますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
梅酒: 青梅をホワイトリカー(焼酎甲類)と氷砂糖に漬け込んで作るお酒です。時間の経過とともに琥珀色に変化し、まろやかな風味が増します。ソーダ割り、ロック、お湯割りなど様々な飲み方で楽しめます。長期保存が可能で、熟成させる楽しみがあります。
梅シロップ(梅ジュース): 青梅と氷砂糖だけで作る甘酸っぱいシロップです。水や炭酸水で割って飲むほか、かき氷のシロップやゼリーの材料にも使えます。お子さんでも楽しめるノンアルコール飲料です。比較的短期間で完成します。
梅干し: 完熟梅を塩漬けにし、土用干しを経て作る日本の伝統的な保存食です。塩分濃度や漬け方によって様々な味わいがあり、ご飯のお供やおにぎりの具材として欠かせません。殺菌作用があるため、お弁当に入れるのにも適しています。
梅ジャム: 熟した梅の果肉と砂糖を煮詰めて作るジャムです。トーストやヨーグルト、パンケーキによく合います。甘酸っぱい香りが食欲をそそります。
梅味噌: 梅と味噌を合わせて作る調味料です。ご飯に乗せたり、野菜スティックにつけたり、和え物に使ったりと、料理の幅が広がります。
梅の健康効果
梅は「一日一粒で医者いらず」と言われるほど、健康効果が高い食品として知られています。
疲労回復: 梅の酸味の主成分である「クエン酸」は、体内のエネルギー生成を助け、疲労物質である乳酸の分解を促進します。
食欲増進・消化促進: 酸味が唾液や胃液の分泌を促し、食欲を増進させ、消化吸収を助けます。
殺菌・抗菌作用: 梅に含まれる有機酸には、食中毒菌の増殖を抑える強い殺菌・抗菌作用があります。
整腸作用: 腸の働きを活発にし、便秘の解消や下痢の改善に役立つと言われています。
生活習慣病予防: ポリフェノールや抗酸化物質が豊富で、活性酸素の働きを抑え、生活習慣病の予防に役立つとされています。特に「ムメフラール」は血流改善に効果が期待されます。
二日酔い防止: クエン酸がアルコールの分解を促進する働きがあります。
梅仕事の魅力
梅仕事には、単に保存食を作るだけではない様々な魅力があります。
旬の喜び: 季節の移ろいを感じ、旬の食材を丸ごと味わう喜びがあります。
手作りの温かさ: 自分で手をかけることで、市販品では味わえない愛情のこもった一品が作れます。
家族のイベント: 家族で一緒に作業することで、食育にも繋がり、楽しい思い出が作れます。
節約と安心: 添加物の心配がなく、安心安全な保存食を自宅で作ることができます。
長期保存: 大量に手に入れた梅を無駄なく活用し、一年を通して梅の恵みを享受できます。
熟成の楽しみ: 梅酒や梅干しは、時間とともに味がまろやかになり、深みが増していく変化を楽しめます。
梅仕事の基本的な手順(共通の下処理)
どのような梅仕事をする場合でも、共通して行われる基本的な下処理があります。
梅の選別と洗浄: 傷のないきれいな梅を選び、優しく水で洗います。
アク抜き(青梅の場合): ボウルにたっぷりの水と梅を入れ、2~4時間ほど浸してアク抜きをします。完熟梅の場合は不要なことが多いです。
ヘタ取り: 竹串やつまようじを使って、梅のヘタを一つ一つ丁寧に取り除きます。ヘタが残っていると雑味の原因になります。
水気を完全に拭き取る: 洗った梅は、清潔な布巾やキッチンペーパーで一つずつ丁寧に水気を拭き取ります。水気が残っているとカビの原因になりますので、この工程は非常に重要です。
保存容器の準備: 梅を漬け込む容器は、ガラス瓶やホーロー容器など清潔で密閉できるものを選びます。熱湯消毒やアルコール消毒をしっかり行い、完全に乾かしておきます。
まとめ
梅仕事は、日本の豊かな食文化と知恵が詰まった素晴らしい習慣です。今年の夏は、ぜひご家庭で梅仕事に挑戦して、旬の梅の恵みを存分に味わってみてはいかがでしょうか。手作りだからこそ味わえる美味しさと、季節を感じる喜びが、きっとあなたの暮らしを豊かにしてくれるでしょう。
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